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                                                    ◇OVER  TIME(あとがき)◇


  『傷をかかえた孤独なひとが、理解者と出会い、救われる。

  そういう優しい物語はとても気持がよくて、私も好きです。
でも、誰にでも、たったひとりで立たなくてはならない場所があると思うのです。ひとりきりで頑張らなくてはいけない場所が。
それが出来なくては、結局は誰とも一緒にいられないのではないのかな。

  だから、愛されて赦されて救われる、そういう物語ではなく、戦って乗り越えて取り戻す物語を書きたくて、
始めました。』

……というのが、アメーバブログ版あとがきでした。
ええと、これも「まるで愛のような」と同様、書評ブログでポツポツ書いていたお話です。
タイトルの「OVER」ですが、
ゲームオーバーなどの「終わる」の意味ではなく、「overcome」や「getover」などの、
「乗り越える」という意味をこめたつもりのタイトルだったのですが、曖昧にしすぎたために、
誰にもわかってもらえない(あたりまえ)という結果に。

  そちらのあとがきには書きませんでしたが、私は、この物語の21話目がやりたかったのですね。
監禁された状態の主人公のモノローグだけの回なのですが、
その中の、実際にはほんの二行くらいを書きたたいがために長々と続けていたという、
おそろしい執念深さ……。

  この物語の主人公の、永一。

私の当初の予定では、今の自分の現実と正春との間で、どちらを取るのか、かなり悩むはずだったのですが……
そんな様子は微塵もなく。
永一にとっては、そんな選択肢は存在しないようですね(ようですね、って……)。

  この物語では生きて戻って来た彼ではありますが、こういう人が、この先果たして幸せになれるのか、
この人にとっての幸せとは、そもそも何なのか。

それが気になって、番外編「夏の檻」というのを志村視点でやってみたのですが、
あまり結論めいたものは出なかったような……

 

 

 

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