*「夏の檻」あとがき*

 

  志村というのは、早い話が「永一さえいればあとはどうでもいい」という人なのですよね。

この関係は、友情や恋愛というより、相手を親代わりに見立てた依存なのですが……
私はこれを「依存」という、たった二文字でくくってしまうのが、どうしてもイヤで。
というより、やたらと「依存」という言葉を口にする人が好きではないのです。
そもそも誰かを好きである気持って、そんなに立派なものなのか。

 そうではないと思う。
 だけど、それだけでもないと思う。

……というところを、 もっとつっこんでやってみたかったのですが。

 そもそも永一というのは、あまり幸せとは言えない子供時代を「べつにたいしたことではない」と
自分に言い聞かせてやり過ごし、その後も同じやりかたで生きているという、
あんまり自分を大事にしていない人なのですね。
これが、人間関係に失望している志村からすると、「無私無欲」に見えるようなのですが……


 この後の話を書く予定もなければ、その必要もないと思ってはいるのですが、
この後はどうなるのでしょうねえ(誰に聞いてんだ)。

うーん……志村はなんだかんだで幸せに生きていくと私は思うのですが、
永一はどうだろう。
そもそも、自分が幸せかどうかなんて、このひと関心がないのでは? という気がします。

 

 

 

 

 

 

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